横浜音楽新聞 - Twilight Music Times

横浜からお届け、「音楽ブログ新聞」。記者の好きな音楽しかお届けしません。記者の趣向が出まくりです。偏向報道しまくりです。どうか悪しからず。インタビュー、ディスクレビュー、ライブレポートなど。

本物のロックバンドはアリーナをライブハウスにできるという証明 My Hair is Bad 横浜アリーナ 4.16 ライブレポート 【後編】

遅くなりましたすいません。忙しくたって最後までやりきろう。レポート後編です。 


f:id:humming_dog:20190514212926j:image



前編はこちら。

https://yokohamaongaku.hatenablog.com/entry/2019/04/22/214052


ライブハウスシーンの最前線にいたMy Hair is Badのようなバンドが、横浜アリーナでライブをやるわけだ。


当然のようについてまわるのが、「やっぱこのバンドはライブハウスの方がやっぱいいな〜」というコメント。


いや、そりゃそうだ。ライブハウスの方が近いし。狭いし。バンド音楽なら、あのぐらいの空間の方がよく鳴るのは当然な話だ。


しかし、世間はロックなんて聴かない、言わば「あいみょん時代」になった今でも、ライブハウスには収まらないほどの人気をつかむバンドはコンスタントに現れる。


そして、人気なバンドが、ライブハウスから溢れたオーディエンスを収めるには、アリーナという選択肢が不可欠になるのは当然な話だ。


長らくライブハウスで活動してきたMy Hair is Badもライブハウスに収まりきらないほどのデカいバンドになった。

 


マイヘアはここ最近のロックバンドの中でもド直球なライブハウスサウンドというか、タイトなリズム隊に、歪んだギターバッキングというサウンドが持ち味だから、なおさらに、「マイヘアがアリーナ、どないやねん」と思った人も少なくないのでは。


しかし、「どないやねん」という層の人も「これはすげえや」となったようなライブだっただろう。

 


あ、ちなみに、僕は元々「どないやねん」とはなっていなかった。
というのも、最新音源である「hadaka.EP」を聴いてなんとなく、「アリーナにも合いそうやな」と感じていたからだ。最新EPでは、本人が意識したかは分からないが、どこかサウンドがアリーナスケールになっている印象があった。


サウンドがアリーナスケールに進化するバンドは多い。わかりやすい例を出すと、ワンオクの進化の変遷が分かりやすいだろうか。ライブハウス的なサウンドから見事にスタジアム・ロックに進化するバンドというのは数多い。

 


マイヘアは、ワンオクほどあからさまではないが、音作り、曲作りから、スケールの巨大化を感じた。もちろんポジティブな巨大化。笑


多分、マイヘアも、ワンオクもそうなのだと思うが、バンドって、デカくなると自然に曲もデカくなるのかな?と考察している。
沢山の場数を踏んで、背負うものも増える。
そんなバンドの内面から、無意識に曲の規模が大きくなるのだろうか。


特に、「hadaka.EP」の表題曲「裸」にはその傾向は顕著で、全編通して鳴り続けるアコギ、クランチよりの深めなアルペジオ、皮物中心なフレージングで叩かれる壮大なドラミングは、「アリーナ映え」する曲だと真っ先に感じた。

 

 


で、肝心のライブ、その予想と期待は全部当たった。上回った。ぶち上げてくれた。


まず、最新e.p.に限らず、インディーズ期の曲もスケールがでかくなっていた。3人しかいないのに、3人の鳴らす音に、拳をぶちあげずにはいられない。このバンドが踏んできた、ライブの場数と、人生の場数が、曲をアリーナに連れていったのだろう。


「真赤」の時、照明がだだっ広いアリーナを、椎木さんを中心に照らした。本当に鮮やかな赤だった。紅だった。そして、「あの時見た色は、確かにこの色だった」(うろ覚え、、、)みたいなエモい一言をつぶやき、歌い出す。このシーン、かなりの圧巻だった。ライブハウスでは見られない景色、間違いない。


2万人近くを前にしているとは思えないマイペースなMCが、寧ろ尚更にライブの多幸感を駆り立てる。しかし、マイペースかと思いきや、「フロナウオン」の周辺の緊張感、熱さは唯一無二のもの。言わば、マイペースの意味合いが代わる。完全に、マイヘアの、椎木知仁という男のペースに、その言葉に飲み込まれる。
へ、マイヘアのペースってマイペースやな、ふはは。

 


ライブを見終えて感じたのは、「良いバンドはアリーナでもライブハウスでも最高」というシンプルな結論。
しかし、当たり前のようで、これを当たり前にやるのはかなり大変なこと。

 


ニゾンスクエアガーデンのライブを見た時もそうだった。ユニゾンは、バンド自身が小さめの会場を希望している。しかし、最近、あまりにも人気があるので、オーディエンスが会場に収まりきらないという現状を受け、アリーナクラスの会場でも渋々ライブをやるようになった。


しかし、もう、アリーナも、ライブハウスも、ユニゾンにとってなんにも関係ないのだ。相も変わらず最高なライブをユニゾンは見せてくれた。

 


つまりの所、ロックバンドはどんどんアリーナでライブをやるべきだし、やって欲しい。
デカいとこでデカいことをやる、そうする事で、また音楽が不特定多数へ広がっていくような、そんな気持ちがある。


もちろんライブハウスでも引き続き見たい。ライブハウスが最高なのには変わりないから。


でも、最高な曲はアリーナでも最高なままそこにある。ライブハウスと同じ機材で、同じ人達が演奏している。

 


バンドがアリーナでライブをするというのは、嬉しくもあり、切なくもあり、という複雑な気持ちになる人も多いだろうが、多分アリーナに行ってもそのバンドは最高だと思うから、是非、これからもついて行って欲しいし、ついて行きたいと思った、そんなライブだった。